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黄昏マリオネット13

「あの、水龍の術は、貴方がやったんスね?」
「・・・。」

無言の肯定、と言わんばかりに本来の姿を現した銅に姿を偽っていた相手は、赤い唇を苦そうに食いしばり恨めしそうに柿太朗を睨み付けた。 長い白髪をきつく結った日本顔の若い女性。服装から見え隠れする白い四肢は無駄なく筋肉がついておりまるでアスリートの様な体型だ。柿太朗はそんな女の姿を見て瞳をアーチ型に歪ませて、より一層胡散臭く口角を上げた。

「匂うっスよ、貴方から・・・呪詛の香りが。」
「何もかもバレバレだったのね、がっかりだわ。」
「何でこんな事しちゃったのかわからないっスけど、池、綺麗にして貰えないっスかね?」
「それは出来ないわ・・・命令だもの。」
「命令?」

ごうっ、と強い風が吹き白い女は背に帯刀していたひと振りの刃の部分に持ち手のある柄なし大鎌を抜き柿太朗に突進して来た。柿太朗はぐっ、と脚に力を込めて高く飛び上がり難無くひらりと身軽に躱す。

「あら、意外と躱すのね。サーカスみたいじゃない。」
「当たったら痛そうじゃないスか。」
「そうよ、とっても痛いわよ!」

女がにっかりと口角を上げ、柄無し大鎌を振り上げ間髪入れず何回も柿太朗に斬り掛かる。のらりくらりと躱していく柿太朗だが、途中から大鎌の太刀筋がかまいたちの様に大鎌から離れて斬り掛かって来る様になり、柿太朗も間合いを空けて躱し始めた。

(これも、術のひとつっスね・・・一見風属性のかまいたちに見えるが、これは水属性の刃だ・・・)

柿太朗は躱しながら敵が仕掛ける技の本質を見極めていた。ある程度間合いを詰めて行くといきなり立ち止まり、地面に両手の平を思いっきり付ける。すると、地面の土が壁の様に迫り上がり水属性の敵の攻撃をしっかり防御していく。例えるなら土のバリアを柿太朗は出したのだ。

「だったら、これっス!!」
「何?・・・お兄さん、地属性の術士だったの!?」
「まぁそんな所っスね、水属性の貴方より有利な地属性っスよ!」

水圧の刃は土の防御壁に激しく弾かれると何も変哲の無いただの水になり、柿太朗の足元を濡らしていく。白い女は自らの術が効かない事に気付くと攻撃を潔く止めた。柿太朗も防御の術を解き、互いに睨み合う。

「興醒めだわぁ・・・。」
「別にあんな池を濁した事に対してこらしめようなんて事はこれっぽっちも思って無いっスけど、何か必然性を感じてね。」
「必然性?」
「アンズメコマドリの瞳・・・呪詛に使ったり、してないスかね?」
「どうだったかしら?教えてあげても良いけれど・・・足元、お気を付けあそばせ。」

クスリ、と嘲笑を口元に表した白い女。再度水圧の刃を仕掛けるが、柿太朗の地属性の防御壁にはなすすべも無くひたすらに柿太朗の足元は水溜りを成していく。柿太朗もこのままでは埒が明かないと現状に飽き始めていた所だった。しかしそれもいつまでも続かなかった。突然、柿太朗の足元に溜まっていた水が柿太朗を取り囲み水の檻となってしまった。流石に柿太朗もつまらなそうに下げていた眉尻を上げて関心を示す。

「ほう、こんな事も出来るんスか。」
「折角だから少しだけ教えてあげる。確かに水神からアンズメコマドリの瞳を買い付けて琥珀に見立てて呪詛を掛け、猫又にファンからのプレゼントのフリして郵送で贈ったのは私。水神とその池に呪詛を掛けて、余計な事喋らせ無い様に呪い漬けにしたのも私よ。でも、これは全て命令。理由は知らないけど命令されたからやっただけよ。」
「命令?誰のっスか?」
「これは教えたら私の首がトンじゃうからダメ。まぁ私、元々この帝雲町の地縛霊だから死んじゃってるんだけれど。確実に言える事は今まで掛けた呪いは、猫又と水神2人の生命を脅かすものでは無いって事だわ。」
「2人の・・・?」
「ええ、そうよ。」
「と言う事は、初めから狙いは・・・!」
「あら、それ以上はお兄さん、自分自身の立場を考えてからにしてちょうだい。私が教えてあげたのも別に優しさからじゃないわ。お兄さんを殺すか、呪い漬けにしてものを言えなくするからよ。」
「うーん、そういえばそうでしたっスね・・・。」
「何?そのお間抜けな返事。お兄さんは囚われている自覚が足りないんじゃないかしら。」
「どうしたもんスかね・・・。」

柿太朗がこの現状をどう切り抜けるか悩んでいるのも束の間、転機は突然訪れた。木陰から突然何者かが白い女に飛びかかり何らかの攻撃を仕掛けて来たからだ。柿太朗はかなりの不意打ちで助けが来たので心の中にかなりの違和感が渦巻いていたが、銅がたまたま自分を見つけて助けてくれたのかと思い表情を明るめて顔を上げた。

「痛っ・・・誰よ!!」
「えっ、先輩!・・・じゃない?」

柿太朗と白い女、2人の目の前現れたのは銅でも咲希でも無く、見知らぬシルエットの影が逆光でゆらゆらと立っていた。
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