まったり創作しております。メインはオリジナル小説。そろそろ版権にも手を出したい。

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―小話『 ―。其は、 を蝕すといふこと』―
創作に関してピクシブやこのブログ等のオンラインでの活動を主にする為、
過去にコピー本にしていた作品も手直しし、ウェブ上で掲載する事にしました。
少しずつ掲載していきます。

今回は『彼者誰シンメトリー』に掲載していた小話『 ―。其は、 を蝕すといふこと』です。
グロ表現ありますのでご注意ください。
本を読んでいた少女。ふと振り向くとそこには 自分を匿ってくれたおばさまの姿が。



―小話『 ―。其は、 を蝕すといふこと』―



「お父さんが鯨をこの前捕まえたでしょう。 お刺身にしたから食べます?」
「あら、今日はお刺身ですのね。」

本を閉じ、表情を緩ます。お父さんとはおばさまの旦那、今いるこの家の主人である。お父さんは地元の鯨漁師の若頭。しかし、少女はそのお父さんに会った事が無い。鯨漁で常に海上の船にいて、帰って来るのがたまにだったからだ。それでも彼女はまだ見ぬ素性を明かさない自分を匿ってくれたおじさまに感謝の情でいっぱいだ。とても温和な方で優しいおばさま。こうして自分の分も鯨を取っておいてくれるおじさま。自分の分の取り分が減ってしまうのに何言わず鯨肉や野菜等を分け与えて和やかに接してくれる村人達。彼女はこの村が好きになりそうだった・・・しかし、深入りは禁物。もうそろそろ潮時かもしれない、と本能が囁いていた。

「今日はとても良いのが入ったみたいよ。」
「まぁ本当。とっても美味しそう・・・いただきますわ。」

気付くと、おばさまは鯨の刺身を乗せた皿をちゃぶ台の上に乗せている所だった。少女は思案をごまかす様に笑顔をおばさまに見せ、出された鯨の刺身を一切れ口に運ぶ。鯨は哺乳類であるから当たり前だが、少々血生臭い。今日のは一段とだ。しかしその後に口内で堪能出来る絶妙の硬さ、濃厚な味が美味しいのだ。少女は頬を押さえて美味しさを表現しつつ、 心にも無い事を口にする。

「まあ美味しい・・・いつかおじさまにもお礼を言いたいものです。」
「あら、そう言って貰えるとお父さんも喜ぶわよ。」
「私、食後のお茶を入れますわ。おばさまも飲まれますかしら?」
「じゃあ貰おうかな、ありがとうね。」

少女は静かに立ち上がると台所へ向かった。やかんで湯と沸かそうと考え何気なくやかんを掴み、シンクをおもむろに見やるとこの家に現在起きている異変に気づいてしまった。はっ、と少女はちゃぶ台の真ん中に置かれている皿に盛られた鯨を見る。とても綺麗に刺身にされているが、これはお父さんが捕った鯨・・・ではなく、お父さん自身だったのだ。何故ならシンクは血溜りで深紅に染められており、その真ん中にはどこから見ても人間の腕が飛び出ているからだ。それ以外にもハツ、ランプ、レバー、ハラミにツ
ラミ・・・焼肉で例えると平和そうな聞こえになるが、何一つ平和でない種族の肉の部類がシンクの中で静かに存在をあらわにしている。どうりでいつもより血生臭い訳だ。瞳孔をかっ開き目の色を変える少女におばさまは、心を串刺しにする鵺の様な言葉をに
こやかに言った。

「お父さん、いつも帰りが不安定じゃない?しかも何日も何が起こるかわからない海の上での生活なんて・・・私、毎日心配で心配で心配で・・・食べちゃった。でも、あなたも食べたわよね?なら私達、なかまよね?・・・ふふっ。」

とても嬉しそうに笑むおばさまの瞳は光が灯っていなかった。



・・・それから数時間して出航の時間になっても帰ってこない若頭が気になり家を尋ねた弟子の話によると、そこにあったのは、血まみれの茶の間でその血の出所らしき肉片を綺麗に切ってご飯と一緒に食べる体中赤黒い若頭の妻と、黒々とした血溜りから華と見紛う程の金色の羽が沢山落ちているばかりでその光景は非常に異常であり、不謹慎ながらもただただ美しかったという・・・。



―小話『鯨―。其は、人を蝕すといふこと』― 御終い。
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