FC2ブログ
まったり創作しております。メインはオリジナル小説。そろそろ版権にも手を出したい。

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

黄昏マリオネット5
黄昏マリオネット5



黒いジャケットをなびかせて、バイクを巧みに操り、白
桜並木通りを走る。バイクに乗った銅が風だとしたらそ
れに扇られる花びらもまた、風流と言えるだろう。白桜
広場の駐輪場へバイクを止めて数日前の出来事があった
あたりを調べる。しかし、特に何も出て来なかった。不
機嫌になりながら、満開の桜の樹に寄りかかり、考えを
巡らすが、いくらもの考えを思い浮かべても、同じだけ、
考えが消えて行くだけだった。ふと、桜の木々の方へ目
を向けると、白桜の花びらに紛れて、人影が銅の前に近
づいていた。

「貴女は・・・」
「久しぶりだね。坊や」

その女性(ひと)は銅も良く知っている人物だった。華
奢な身体に甘く香る薄い紫の細く、長い髪の毛。ミニの
チャイナ服からのぞく白い自らの脚をさすりながら彼女
は、けだるげに微笑むのだった。可愛いとも、綺麗とも
取れる女性らしい顔。

そう。そこに現れたのは――今回の一件の主役。

猫又だった。

「お久しぶりです。」

桜も恥じらう様な繊細な睫毛をゆっくり伏せて男は会釈
をする。礼儀が整ったそれに美女は再度微笑むと、男、
銅の方へと歩みを進めた。

「そういえば、自己紹介がまだだったねぇ。私は猫又の
蘭(らん)さ。人型の時はモデルをやっている・・・・
まぁ、妖怪専門だけどね。」
「今日は何様で?」
「ぁあ。知香(ともか)と茶しに来たのさ。それで坊や
を見かけたからこっそり人型に化けて、礼を言いに来た
って訳。」
「・・・知香?」

ぴたり。銅は一瞬疑問に動きを止めた。表情をも止めて
寄りかかっていた樹から起き上がり、体勢を立て直す。
初めて聞く名前について答えを求めると、当の蘭は邪魔
な前髪を耳に掛けるとその耳をそちらへ傾けるのだった。
掛け切れなかった髪がもったりと顔から肩へ落ちる。

「秋芒院(しゅうぼういん)ってお茶の家系の次女よ。
私の主人。この前会ったでしょ?」
「嗚呼・・・。」

邪気でいっぱいの真っ黒な蘭を軽々と抱いていた少女。
神聖過ぎる力の持ち主なのか。はたまたその逆なのか。
銅はそっと瞳を伏せて思い出す。まあ、あの程度なら
取るに足る者ではないだろう。何かあれば、それ相応
にどうにかするのみだ。考えから覚め、ふと我に帰る
と、蘭が何やら思い出したかの様に喋りかけて来てい
る所だった。

「あ、そうそう。今日の夜、仲間内で花見するんだけ
ど、良かったら来ないかい?」
「・・・いや、今日は別にあるので。」
「そうなの?じゃあこれ、あげる。」

ひょい、と蘭の手からトスされたのを受け取る。銅の
手にあったのは白桜で出来た桜餅だった。しかし、そ
の桜餅の包み紙からはみ出てこぼれ落ちた何かを、す
んでの所でキャッチして、見てみると、シンプルなリ
ングに琥珀の装飾がしてある指輪だった。銅は疑問に
表情をゆがませると、蘭が人差し指を刺して表情に対
しての答えを簡潔に答えた。

「それは、この前の件の時変な女から買ったんだ。
何かの参考になれば良いねぇ。」
「・・・・すまない。」

片手を背中で組んで伸び運動をする蘭の後ろ姿に銅は
言葉だけで返す。蘭は「かまわない」、と手をひらひ
らさせて答えるが、何かに思い出した様で顔だけ振り
向く。

「嗚呼、そう。たまには知香にも会ってあげて。今日
は私が人型であんたに会いたかったから、一人で来た
けど。」
「嗚呼。」
「じゃ。」

猫又はするり、と木の間をすり抜けて木陰に消えて行
った。さて。と銅も広場の大きな時計を見ると秒針と
時針がてっぺんをさそうとしている所であった。そう。
昼か・・そういえば柿太朗と何か約束をしていたな。
知り合いの元へ行くのは次の日で良いか―――と、銅
はゆるく考えながら、ヘルメットを被ってバイクに乗
り、また風と戯れるのだった。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL

Copyright © 私の彼はクレピュスキュール(改). all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。