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まったり創作しております。メインはオリジナル小説。そろそろ版権にも手を出したい。

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黄昏マリオネット6



夜の闇に揺らめく桜。桜、桜。
月明かりの優しい光が白桜を優しく包み、華美な空間を嗅ぐわせる。
銅、柿太朗、咲希は皆で花見に一丁目までやって来た。並木通りの
奥の広場で人々が桜酒片手に桜餅に舌鼓している。だがそこに銅達
の姿はなかった。自分たちで人のいないゆっくり花見のできる穴場
を見つけ出し、そこで伸び伸びと白桜を楽しむのだった。

「あっはっはっは!!咲希姐さんデラ可愛いッスよ!」
「あら、柿太朗殿、お次はワルツを披露致しますわ!」
「・・・・・・・・ったく。」

柿太朗どころか少女である咲希まで桜酒を飲んでしまった様で、二
人は気分良く笑い転げている。その端にあるござに座る咲希の兄、
銅は桜酒をあおりながらやれやれと呆れ顔をするが、その白い頬は
仄赤く染まり、軽やかに酔っているようだ。でろんでろんに酔っぱ
らう二人はハイテンションをぶっちぎっている。しかし、二人で勝
手に盛り上がっているだけで、自分に害はないので銅は特に気にし
ないとまたも酒瓶に手を伸ばす。今日は身内だけで来ているので黄
色い声で叫ぶ御婦人方はいないし。かなり穴場の花見スポットで真
夜中なので見つかる事もない。安心して酒がのめる。と銅も久々の
羽伸ばしを楽しむのだった―――

暫くすると妹咲希は何故、どう登ったのか木の上に登り、眠りにつ
いてしまった様だ。後で起こすのが面倒だ・・・などと思うがこう
いう時位しかああしてはめを外せないのだと思うと、仕方ないと思
えてしまうのが可愛い妹を思う兄の心境。酔いが覚めきらない柿太
朗がござに座る銅の隣に寄り添い、座る。

「むにゃむにゃ・・・せーんぱいっ。」
「・・・もう・・・困った奴だな・・・・・・・・」

そっと自分のはおっていたカーディガンを柿太朗へ被せる。
柿太朗は幸せそうにまどろんでいる。ふんわりと涼しい風が桜の香
り気持ちよさそうに微笑み、寝声を喋りながら銅に頬を寄せて来る
後輩。喋らなければましな男なのに、と銅は残念そうに眉尻を下
る。柿太朗は寝ぼけて足を撫でてくる・・・ん?

足を撫でて?

銅はバッと、柿太朗の顔を見る。すると当の酔っぱらいはでへでへ
と幸せ過ぎる緩んだ顔をしていた。その意識は、はっきりと起きて
いる。柿太朗は最初っから起きていて、銅に猫の様に甘えて来る、
と言うよりは、あまりにも銅の足が美し過ぎて、セクハラ的な事を
したかったらしい。銅はわなわなと怒りの鉄槌――右フックを力ま
かせにくらわした。

「っ、この変態!!!」
「ぎゃふん!!!」

思いきり昇天する後輩を見て、銅は考えを巡らす。良く良く考えた
ら、こいつはこれ位じゃ酔うわけないか・・・一つ、舌打ちをする
と銅はまた、酒瓶に手をつける。しかしその中身は無く、空だった。
銅は口が寂しいと手を口に添えた。彼の長い髪の毛は春風に身を委
ねて優しく漂うばかりだった。
 
暫く銅の怒りも収まり、またも柿太朗は懲りずに銅の隣へ座る。銅
方のは呆れた顔をしていても、仕方なさそうに自らの肩に頭を預け
る柿太朗に思わず自分自身もそっと、寄り添う。なんだかんだ言っ
ても、嫌いにはなりきれない様だ。柿太朗がすう、と息を吸い夜風
に浸り、空を仰いで伸び、ふと空を見てみたら、ある事に気付いた。
銅に空を見るように伝え、その通りにすると、

そこにはここ一面の桜にも似た真っ白い鶴の幻想がきらめいていた。

「・・白桜鶴(はくおうつる)か。」
「おおお!すごいっスー!」

白桜鶴―――――
澄んだ霊気の土地にしか現れない現象だ。それがこうしてみられた
のも、自分達が一丁目の猫又を貪る不浄な妖気を封印し、この地の
霊気を浄化したからである。白桜鶴を見た者は生涯息災でいられる
という言い伝えがある。白桜鶴に見とれる銅。白桜鶴の霊気で一層
場の空気が澄み、寒くなっている事に気付き、柿太朗は銅を呼ぶ。
そして相手の肩を割れ物を扱うように優しく抱き、その扱いの様に
小さく囁いた。

「銅先輩、寒くないっスか?」
「嗚呼・・・」

先程返され、着なおしたカーディガン裾を軽く握り、上の空で返事
を返す。そんな愛おしい先輩に柿太朗は再度体を寄せるのだった。
柿太朗の温かい体温に銅は長いまつ毛を伏せて、表情を思わず緩ま
せるのだった。


うつらうつら。春の幻想は有終の夢。

またすぐ、四季が巡るだろう―。
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